国文学分野

Japanese Literature

概要

国文学専攻は、日本の文学・言語・文化を総合的且つ専門的に探求する場です。現在の専任教員スタッフは、附属研究所斯道文庫を含めて、文献学的学問を志す者が少なくありませんが、個々の教員の関心は一つの研究方法に止まってはいません。研究対象も、一人の教員が多くの分野・作者・作品・文学的語学的事象に関心を抱いています。

国文学の研究対象となる時代は古代から近現代まで、ジャンルは古典に属する和歌・物語から近現代の小説や出版文化に至るまで多種多様です。日本語学も古代語から現代語まで、理論的研究から実証的研究まで多岐に亙ります。国文学専攻では、近年の傾向として、中古物語、中世和歌、絵巻物・絵入り本、近代ジェンダー・セクシュアリティ論、形態音韻・文字表記、日本漢文学といった研究が盛んです。

授業は、専任教員・斯道文庫教員・非常勤講師により、それぞれの専門分野を中心として、さまざまな形式で行われています。その多くは、少人数による演習形式を取っています。

一方、大学院の行事としては年2回、5月と11月に国文学研究会を開催しています。これは大学院在籍者・出身者による研究発表を中心に、若手研究者の研鑽の場としての役割を果たしています。また、文学系5専攻の運営する藝文学会でも、6月の大会では大学院生による研究発表が行なわれています。このほか、専任教員の主宰する研究会・読書会も頻繁に開かれています。大学院生の論文発表の場としては、国文学専攻の『三田國文』(年1回)、藝文学会の『藝文研究』(年2回)があります。

大学院修了後は、中学・高校の教員、大学の教員、公共機関の研究員などの専門職に就く者が圧倒的に多く、民間企業に就職する者は極めて少数です。

教員

名前/職位

専攻/専門領域/研究内容/主要著作

  • 国文学専攻
    中世文学、和歌文学

    院政期から戦国期までの和歌、儀礼・有職故実の研究を含んだ古典学に関心があります。とくに作品成立の場と背景をできるだけ正確に再現するよう努めています。

    主要著作
    • 『二条良基』,人物叢書302,328頁 ,吉川弘文館 ,2020年1月
    • 『「和歌所」の鎌倉時代—勅撰集はいかに編纂され、なぜ続いたか』,NHKブックス1285,320頁,NHK出版,2024年6月
    • 『中世和歌史の研究─撰歌と歌人社会』 ,722頁, 塙書房, 2017年5月
    • 『兼好法師—徒然草に記されなかった真実』, 中公新書2463,258頁 ,中央公論新社,2017年11月
    • 『足利義満—公武に君臨した室町将軍』, 中公新書2179,298頁 ,中央公論新社,2012年8月
  • 小平 麻衣子
    Odaira, Maiko
    教授

    国文学専攻
    近代日本文学

    近現代文学における、ジェンダー・セクシュアリティ言説を中心に研究しています。女性作家だけでなく、投稿者・読者の問題、教養言説、演劇などの周辺メディアも扱っています。

    主要著作
    • 『なぞること、切り裂くこと 虚構のジェンダー』以文社,2023年3月
    • 編著『ジェンダー×小説 ガイドブック—日本近現代文学の読み方』ひつじ書房,2023年5月
    • 編著『『文藝首都』 公器としての同人誌』翰林書房, 2020年1月
    • 『小説は、わかってくればおもしろい 文学研究の基本15講』慶應義塾大学出版会, 2019年3月
    • 『夢みる教養 文系女性のための知的生き方史』河出書房新社, 2016年9月
  • 合山 林太郎
    Goyama, Rintaro
    教授

    国文学専攻
    日本漢文学(近世・近代)

    江戸・明治時代の日本人が作った漢詩や漢文を研究しています。これまでは、今日忘れられている幕末・明治期の専門漢詩人の業績について再評価を試みるとともに、森鷗外や正岡子規などの近代の文学者と漢文学との関係について分析を行ってまいりました。現在は、漢籍の日本への流入状況や、日本漢詩におけるカノン形成の過程に着目しながら、戦前までの漢文文化の大きな流れについて考えています。また、近世文学における海外表象のあり方や、漱石など近代作家に関する史料考証にも関心を持っています。

    主要著作
    • 『大沼枕山と永井荷風『下谷叢話』―新視点・新資料から考える幕末明治期の漢詩と近代―』汲古書院, 2023年3月, 編著)
    • 「五弓雪窓の見た明治初期東京漢詩壇─関西大学図書館蔵『晩香館日記』を手がかりに─」(佐々木孝浩・佐藤道生・高田信敬・中川博夫編『古典文学研究の対象と方法』, 花鳥社, 2024年3月, 論文)
    • 「植物の漢名と近世日本の漢詩―萩の花の呼称を例に―」(『藝文研究』123号第1分冊, 2022年12月, 論文)
    • 「王安石「山櫻」詩と近世日本におけるサクラについての議論」(東英寿編『唐宋八大家の探求』, 花書院, 2021年3月, 論文)