中国文学専攻

Chinese Literature

概要

中国文学専攻は、「中国古典文学」「中国現代文学」「中国語学」を大きな3本の柱としていますが、中国の歴史、哲学、社会、芸能などを含めた、古代から現代にいたるまでの幅広い中国の文化全般を研究対象としています。

歴史を遡れば、本専攻は中国文学研究の泰斗・奥野信太郎の学風に導かれ、伝統を形成してきました。専任教員の専門分野は、古典文学、現代文学、語学に分かれています。また、特殊な研究領域においては、優れた業績と指導力を有する斯界の専門家を非常勤講師として招き、あらゆる領域をカバーできる体制を整えています。

修士課程では、中国文化全般について幅広く学ぶと同時に、自ら選択したテーマを深く掘り下げて追究し、修士論文を作成します。後期博士課程では、修士課程で獲得した基礎知識を土台に、より専門的な研究を行い、学会にその成果を発表します。

近年の学生の意欲的な姿勢のあらわれとして、在学中に長期留学する傾向が強くなっています。大半の学生が1年ないし2年の留学を経験し、きわめて大きな成果をあげています。留学先は主に中国本土や台湾などで、現地の大学で専門の研究に取り組むほか、中国語運用能力の向上をはかり、また現地での生活を通して中国の風俗、習慣、文化などについての理解を深めています。

修了後の主な進路は、中学・高校の教員や大学の教員、研究機関の研究者などです。開設以来、中国語学・中国文学の教育・研究分野で活躍する人材を数多く輩出してきました。世界における中国の躍進に伴い、官公庁や一般企業で活躍する人材も増えており、今後の展望も大きく開かれています。スタッフ一同、意欲ある皆さんとの出会いを期待しています。

教員

名前/職位

専攻/専門領域/研究内容/主要著作

  • 浅野 雅樹
    Asano, Masaki
    教授

    中国文学専攻
    中国語学

    現代中国語に関する語彙や文法を中心に研究しています。最近は、辞書や教材作成、また語彙指導についての問題をテーマとした研究に取り組んでいます。

    主要著作
    • 中国語学習辞書の「用例」についての考察 : 二音節の実詞に対する語彙的性質からの視点を中心に 『中国研究』第13号 2020年
    • 日本國內學生的華語詞彙論知識調查與考察 『第5回全球華語文教師與研究生論壇論文集』 2016年
    • 中国語教育における「反義語」を用いた語彙指導について 『慶應義塾外国語教育研究』第12号  2016年
    • 類義語をどのように教えるか ー弁別法の使用を中心にー『中国語教育』 第9号 2011年
  • 杉野 元子
    Sugino, Motoko
    教授

    中国文学専攻
    中国近現代文学、日中比較文学

    日中戦争時期に日本軍占領下の北京や上海などに留まり文学活動を続けた中国人文学者について研究しています。また長編小説『駱駝祥子』や戯曲『茶館』などの作品がある満州族作家・老舎についても研究しています。

    主要著作
    • 「漱石と老舎:二人の文学者の英国体験をめぐって」(日本比較文学会編『滅びと異郷の比較文化』思文閣出版、1994)
    • 「悔恨と悲哀の手記:魯迅『傷逝』と森鷗外『舞姫』」(『比較文学』第36巻、1994)
    • 「柳雨生と日本:太平洋戦争時期上海における「親日」派文人の足跡」(『日本中国学会報』第55集、2003)
    • 「路易士と日本:戦時上海における路易士の文学活動をめぐって」(『比較文学』第52巻、2010)
    • 「北京的駱駝祥子与香港的駱祥致――1962年香港影片『浪子双娃』考」(『海南師範大学学報(社会科学版)』第162期、2015)
  • 吉永 壮介
    Yoshinaga, Sosuke
    教授

    中国文学専攻
    中国古典文学

    明代の白話小説『三国志演義』を中心に、正史・志怪小説・地誌等の伝承に見られる史実と虚構との揺らぎ、特にメディアによる伝播のあり方の相違という受容史に関心を持っています。また、古典通俗小説が現代サブカルチャーとして展開する様相にも興味を持っています。

    主要著作
    • 「鍾山改名の由来について―蒋子文と孫鍾の伝説をめぐって―」(『藝文研究』第85号、2003.12)
    • 「サブカルチャーとしての三国志」(『アジア遊学』No.97、勉誠出版、2007.3)
    • 「『三国志演義』の涙の力学」(『藝文研究』第105号第1分冊、山下輝彦教授退任記念論文集、2013.12)
    • 「現代日本の「三国志」受容における二つのリアリティー―北方謙三と宮城谷昌光の両極性―」(『藝文研究』第116号、2019.6)
    • 「現代日本における長編小説「三国志」の再生産と受容をめぐる視座について」(『慶應義塾中国文学会報』第7号、2023.5)