日本語教育学分野

Japanese Language Education

概要

慶應義塾大学における日本語教育は1958(昭和33)年に開始されました。その後1972(昭和47)年、学生ならびに修士課程修了者を対象に、日本語教師養成を目的とした「日本語教授法講座」が、本塾国際センターに開設されました。この講座は、2003(平成15)年に改編によって日本語・日本文化教育センター設置「日本語教育学講座」となりますが、約30年にわたり数多くの日本語教育の指導者、研究者を世に送り出してきました。その実績を踏まえ、2007(平成19)年、大学院文学研究科国文学専攻に日本語教育学分野が創設されました。本分野の目的は、高度専門職業人として専門的かつ体系的な知識を備え、優れた教育技能を有する日本語・日本語教育の専門家を養成することにあります。

日本語教員を目指す日本人学生、外国人学生の要望に応えるべく設置された本分野は、大学院から日本語教育学を学ぶ人、現場で日本語教育を経験し日本語研究を希望する人、他分野で取得した修士号とあわせ、日本語教育学でも修士号の取得を目指す人たちに対し、広く門戸を開放しています。

研究活動は、さまざまな理論を教育現場にどのように生かすか、実践をどのように体系化していくかといった、理論と実践を結びつけることに主眼を置いています。主な教授陣は本塾の留学生教育の拠点である、日本語・日本文化教育センターにおいて日本語教育を行っている教員ですので、講義・演習においても理論に偏らない、教育現場の観点を重視した教育・指導が行われています。また、日本語・日本文化教育センターの協力のもと、日本語教育現場の見学、異文化交流など、教育・研究に結びつくさまざまな経験の機会も設けられており、きめ細かい指導が可能となっています。

将来、高度専門職業人としての日本語教育者・研究者を目指す、意欲と熱意のある人を待っています。出願資格、入学試験、カリキュラム、修了要件等は、履修案内と入試要項を参照してください。

教員

名前/職位

専攻/専門領域/研究内容/主要著作

  • 木村 義之
    Kimura, Yoshiyuki
    教授

    日本語教育学
    日本語学

    主に,幕末・明治から現代にかけての,近代日本語を対象とした語彙・表記の変遷に関して研究を行っています。あわせて,その時代の国語辞書,対訳辞書,特殊辞書についても考察しています。また,同時期の口語文を資料として,広い意味での待遇表現(対人配慮表現)の変遷や,漢語の用法の変化に注目する分析なども行っています。

    主要著作
    • 『図解日本語』(三省堂、2006)
    • 『図解日本の語彙』(三省堂、2011)
    • 『辞書の成り立ち』(2021、朝倉書店)
    • 『わかりやすい日本語』(くろしお出版、2016)
    • 『新選国語辞典 第10版』(小学館、2022)
  • 田中 妙子
    TANAKA, Taeko
    教授

    日本語教育学
    会話分析

    日本語の会話に関する研究を行っています。会話において、様々な表現意図を表すために、どのような言語形式や表現方法、方策が用いられているかを分析し、その成果を日本語教育における口頭表現能力の養成に生かす方法を模索しています。

    主要著作
    • 「会話の応答におけるメタ言語表現の使用―言語形式への言及―」『日本語と日本語教育』51(2023)
    • 「会話の応答に見られるメタ言語表現―シナリオを例として―」『日本語と日本語教育』46(2018)
    • 「質問に対する回答回避発話―ドラマのシナリオを例に―」『日本語と日本語教育』44(2016)
    • 「ドラマのシナリオに見られる『励まし発話』の諸相」『日本語と日本語教育』43(2015)
    • 「ドラマのシナリオに見られる『慰め発話』の諸相」『日本語と日本語教育』40(2012)
  • 村田 年
    Murata, Minori
    教授

    日本語教育学
    日本語教育学、計量文体論

    大学・大学院の日本語学習者を対象とした専門日本語教育分野において、主に書きことばに焦点を当てた研究を行っています。文章のジャンルに関心があり、ジャンルを判別するために、どのような言語指標が有効かということを計量的手法を用いて分析し、特に論述的文章に特徴的な指標を探しています。最終的に研究成果を教育現場に還元し、専門日本語教育における体系的教授方法の構築につなげることが目標です。

    主要著作
    • 「論述文の文体的特徴」『文化情報学事典』勉誠出版(2019)
    • BCCWJに現れた統語的複合動詞「~つける」-実例を踏まえた指導法を目指して-『日本語と日本語教育』51(2023)
    • 『日本語複合動詞活用辞典』研究社(2023)
    • BCCWJに現れた複合動詞「押しつける」『日本語と日本語教育』48(2020)
    • 二字漢語「自己」を構成要素とする四字漢語の使用頻度調査‐BCCWJを用いて‐『日本語と日本語教育』45(2017)