3月14日(土)に予定されておりましたワークショップ「フッサール時間論の再検討――反省論のアポリア
をめぐって」は、新型コロナウィルスをめぐる昨今の状況から、参加される皆さんの感染防止の観点の
もと、開催を延期することにいたしました。あらためていつ開催するかにつきましては、今後の状況の
推移を見届けて判断することといたします。どうぞよろしくお願い申し上げます。
概要: フッサールが初期から晩年まで研究草稿を書き継いできた時間をめぐる考察は、「生き生きした現在の謎」
(フッサール)の問題が提起されるに至って、意識対象の構成分析を手法とする現象学的反省理論の限界
に関わるものと解釈されてきた。この解釈のドイツにおける代表的論者はLebendige Gegenwart, 1966 の
著者クラウス・ヘルト(KlausHeld)であり、我が国においては斎藤慶典らがその解釈を下敷きに現象学を
エマニュエル・レヴィナスやジャック・デリダら戦後フランスの構造主義以後の哲学の問題圏へと展開し
た(斎藤慶典『思考の臨界――超越論的現象学の徹底』、2000年、ほか)。こうした動向に対して近年、
佐藤大介(岡山大学)が「反省の問題は本当に問題なのか――フッサール初期時間論の再検討」(日本哲
学会編『哲学』、第70号、2019年)などで精力的に反論を展開している。そこでこの機会に佐藤と斎藤両
者が直接に議論を交わすことで、フッサール現象学において何が起こっていたのか、そこで問題とすべき
は何なのか、その問題の射程と展開の可能性はいかなるものなのか、といった点を参加者と共にあらため
て考えるワークショップを開催したい。司会は、フッサール研究会などで現代日本の現象学研究の活況を
牽引する植村玄輝(岡山大学)が務める。 ワークショップは、まず佐藤と斎藤がそれぞれ40分ずつ提題
を行なう。休憩を挟んで後半の一時間は、すべてを提題者と会場との議論に充てる。