概要

倫理学分野は、哲学分野とともに長い歴史を有しています。哲学とは別に倫理学を専門分野として設けている大学院は全国でもわずかしかなく、その中でも、本分野は最大規模のスタッフを擁しており、日本における倫理学研究の拠点の一つになっています。

倫理学分野のスタッフがカバーしているのは、近現代のドイツ、フランス、イギリス、アメリカ、ロシアの思想です。発足以来、この領域に重点を置きながら、スタッフをバランスよく配しています。また、現代の倫理学は規範倫理学・メタ倫理学・応用倫理学に大別されますが、本分野では、規範倫理学はもちろん、メタ倫理学や応用倫理学の研究・教育も行っています。さらに、宗教哲学、社会哲学など、倫理学と密接に関連する領域についても、長年にわたり、研究と教育を行っています。

スタッフの具体的な専門分野は、ロシアの宗教思想、中世・近世の形而上学、現代のフランス思想、近代のイギリス倫理思想史、カントの倫理学、医療倫理学、メタ倫理学などです。他の領域については、毎年、専門の研究者を講師として招いており、倫理学について広く研究することができます。

倫理学分野は少人数教育をとくに重視しています。例年、修士課程には6名程度、後期博士課程には3名程度の大学院生が在籍しており、それぞれの問題関心に従って専門研究を進めています。修士課程では、研究者としての基礎を養い、優れた修士論文を執筆することを目標としています。後期博士課程では、学会や研究会での口頭発表や論文執筆などを通じて、研究者としての能力を高め、研究成果を博士論文としてまとめることを目標にしています。修了者の多くは研究者の道に進みますが、大学院で得た専門知識を活かして社会で活躍する人も数多くいます。

教員

名前/職位

専攻/専門領域/研究内容/主要著作

  • エアトル ヴォルフガング
    Ertl, Wolfgang
    教授

    倫理学専攻
    倫理学史、形而上学、現代倫理学

    Kant in the context of early modern scholasticism, metaphysical foundations of natural law in Aquinas, transcendental idealism, contemporary metaethics.

    Kants Auflösung der“dritten Antinomie”: Zur Bedeutung des Schöpfungskonzepts für die Freiheitslehre(Freiburg, München: Alber, 1998)、David Hume und die Dissertation von 1770: Eine Untersuchung zur Entwicklungsgeschichte der Philosophie Immanuel Kants(Frankfurt/M.: Lang, 1999)、“Ludewig”Molina and Kant's Libertarian Compatibilism, in Matthias Kaufmann and Alexander Aichele (eds), A Companion to Luis de Molina(Leiden, Boston: Brill, 2014)

  • 谷 寿美
    Tani, Sumi
    教授

    倫理学専攻
    ロシア近代思想、宗教哲学

    宗教哲学全般に関心を持って、東西の諸々の哲学的宗教的世界観をその成立の背景となる精神風土等の対比的考察を通して追求しております。中でも、東西のはざまに位置するロシアとその思想風土にあって前世紀輩出した一群の宗教哲学者達(B. C. ソロヴィヨフを中心とする)に現在は焦点を絞って研究を進めています。

    『ソロヴィヨフの哲学』(理想社、1990)、『続・神秘の前に立つ人間』(共著、新世社、2010)、『スピリチュアリティの宗教史』上巻(共著、LITHON、2011)、『ソロヴィヨフ 生の変容を求めて』(慶應義塾大学出版会、2015)

  • 柘植 尚則
    Tsuge, Hisanori
    教授

    倫理学専攻
    イギリス倫理思想史

    倫理学史、倫理学理論、応用倫理学の分野で研究を行っています。倫理学史では、近代イギリスの倫理思想の歴史を辿り、その全体像を捉えることを、倫理学理論では、現代の倫理学における主要な理論を検討し、その可能性と限界を示すことを、応用倫理学では、経済における倫理的な問題について考察し、その原因を明らかにすることを試みています。

    『良心の興亡:近代イギリス道徳哲学研究』(ナカニシヤ出版、2003/増補版、山川出版社、2016)、『イギリスのモラリストたち』(研究社、2009)、『プレップ倫理学』(弘文堂、2010)、『プレップ経済倫理学』(弘文堂、2014)

  • 奈良 雅俊(哲龍)
    Nara, Masatoshi,Tetsuro
    教授

    倫理学専攻
    現代フランス哲学、医療倫理学

    専門はフランス現代思想と医療倫理学です。フランス・スピリチュアリスムの系譜について、そして医療倫理学における徳倫理学的アプローチについて研究をすすめています。

    『シリーズ生命倫理学 第12巻 先端医療』(共著、丸善出版、2012)、The Future of Bioethics: International Dialogues(共著、Oxford University Press, 2014)、『救急・集中治療における臨床倫理』(共著、克誠堂出版、2016)

  • 山内 志朗
    Yamauchi, Shiro
    教授

    倫理学専攻
    西洋中世・近世思想、倫理学と形而上学

    私の主な研究テーマは、中世後期から近世初頭にかけての形而上学と倫理学です。特に、人間の有限性へ着目し、身体論、情念論について研究を行ってきましたが、この側面は現代の高度情報化社会における問題現象と結びつく側面を有しているという見通しのもとで、メディア論に関わる研究も進めています。 それ以外に、価値の問題、情念の問題と倫理学の関係や行為論を研究しています。

    『天使の記号学』(岩波書店、2001)、『ライプニッツ』(NHK出版、2003)、『普遍論争:近代の源流としての』(平凡社ライブラリー、2008)、『存在の一義性を求めて』(岩波書店、2011)、『「誤読」の哲学:ドゥルーズ、フーコーから中世哲学へ』(青土社、2013)