情報資源管理分野

Information Resource Management

概要

社会の環境変化に伴い、図書館業務や情報サービスに従事する専門職のリカレント教育の必要性が高まっています。そこで2004(平成16)年、図書館・情報学専攻における教育の実績に基づき、社会的ニーズに応えるために情報資源管理分野を設けました。大学卒業後3年以上、図書館等における実務経験あるいは司書資格を有する方を対象としています。2015(平成27)年度文部科学省「職業実践力育成プログラム」に認定されました。その結果、厚生労働省の教育訓練給付金(専門実践教育訓練)の支給対象ともなりました。

本分野は、最新の情報技術や経営管理を中心に、情報資源組織化や情報検索、学術情報流通、レファレンスサービスなどについての知識や技能を修得し、問題解決能力の向上を図ることを目的としています。学術論文の書き方や統計データ処理など、調査分析方法に関するスキル修得を目指す科目も開講しています。

現職者向けに平日夜間(月曜日と木曜日)と土曜日午後に開講しています。夏休み期間に集中で開講する科目もあります。仕事を持ちながら修士の学位を目指す方が大半であるため、結束力もあり、修了後も交流が盛んです。

教員

名前/職位

専攻/専門領域/研究内容/主要著作

  • 安形 麻理
    Agata, Mari
    教授

    図書館・情報学専攻
    書誌学、書物史、図書館・情報学

    西洋の初期の活版印刷術、特にグーテンベルク聖書を中心とするインキュナブラ、写本と刊本の関係、書物に対する考え方や読書の様式の変化などに関心があり、デジタル画像を用いたグーテンベルク聖書の研究を継続して行っています。また、資料保存、デジタルアーカイブ、貴重書のデジタル化、デジタル人文学にも興味を持っています。

    主要著作
    • Agata, M.; Agata, T. Statistical analysis of the Gutenberg 42-line Bible types. The Papers of the Bibliographical Society of America. 2021, 115(2), p.167-183. (DOI: 10.1086/713981)(共著)
    • 安形麻理. "利用者による特殊コレクション資料の撮影の許可:北米の研究図書館における動向". 図書館は市民と本・情報をむすぶ. 池谷のぞみほか編著. 勁草書房, 2015, p. 52-60.
    • 安形麻理ほか. 日本の図書館におけるマイクロ資料の保存の現状 : 質問紙による大学図書館と都道府県立図書館の悉皆調査から. 日本図書館情報学会誌. 2014, vol. 60, no. 4, p. 129-147.(共著)
    • 安形麻理. "聖書に見る本文の構造の視覚的な提示方法". 貴重書の挿絵とパラテクスト. 松田隆美編.慶應義塾大学出版会, 2012, p. 103-123.
    • 安形麻理. デジタル書物学事始め:グーテンベルク聖書とその周辺. 勉誠出版, 2010, 224p.
  • 図書館・情報学専攻
    エスノメソドロジー、情報行動、知識の社会学、サービスデザイン

    人々のさまざまな営みを、営みに関わる人々の視点から理解することにこだわるエスノメソドロジーという学際的なアプローチをとって研究をしています。営みにおける実践を、人々が想起もしくは共有する知識を実践から切り離さずに理解することで、組織や集団における知識の共有や創造、継承などの問題を考察することに関心があります。これまで図書館や病院、企業などでフィールドワークを行ってきました。それぞれの場での実践を理解することが、知識のマネジメントに関わる課題を繊細さをもって捉えることになり、それが組織での仕事の仕方やサービスやテクノロジーのデザインについて現場の方々と共同で考える研究にもつながっています。

    主要著作
    • 『エスノメソドロジー・会話分析ハンドブック』(共編著,新曜社, 2023)
    • 『図書館は市民と本・情報をむすぶ』(共編著,勁草書房,2015)
    • 現象学にインスピレーションを受けたエスノメソドロジーの方向性:三人称現象学を中心に. 現象学と社会科学, 2021, no.4, 25-42.
    • Hybridity of hybrid studies of work: Examination of informing practitioners in practice. Ethnographic Studies, 2020, no.17, 22-40.
    • Social Distribution of Knowledge in Action: The Practical Management of Classification. In J.Strassheim, H.Nasu (Eds.), Relevance and Irrelevance. De Gruyter. 2018, p. 161–186.
  • 図書館・情報学専攻
    情報検索、テキストマイニング

    情報検索の理論・技術全般に関心を持ち、特に、統計学的な方法によって検索性能の向上を目指す研究を行ってきました。その結果、言語横断検索(検索質問と文書とで使用言語が異なる場合の検索)に関して、いくつかのアルゴリズムを提案しました。最近では、テキストマイニングの技術を応用した文書の自動分類について研究しています。具体的には、大規模な文書集合に内在する階層的な主題構造を抽出するためのクラスタリング技術や、ニューラルネットワークを活用した主題件名の自動付与などに取り組んでいます。

    主要著作
    • K. Kishida. Technical issues of cross-language information retrieval: a review. Information Processing and Management, Vol.41, 2005.
    • K. Kishida. High-speed rough clustering for very large document collection. Journal of the American Society for Information Science and Technology, vol.61, 2010.
    • 岸田和明『図書館情報学における統計的方法』(樹村房、2015)
    • K. Kishida. Uncomplicated procedure for thesaurus mapping: Use of stemming, edit distance and vector matching. IPSJ SIG Technical Report. Vol.2018-IFAT-131, 2018.
    • N. Kadowaki and K. Kishida. Empirical comparison of word similarity measures based on co-occurrence, context, and a vector space model. JISTaP, Vol.8, No.2, June 2020, p.6-17.